ジンの正式名は、ドイツ語で「ジン スペツィアルウーレン」―――日本語では「ジン特殊時計会社」という意味です。独自のテクノロジーを生み出し、伝統的で精緻な職人技とパイオニア的な革新性を一体化させることによって、身に着ける人が生涯信頼できる極限的状況でも最高の精度を保証する時計を製作しています。『使うためだけの時計』作りがジンの哲学です。重要なのは機能性で、そのため、ジンの時計には、実際に役立つ機能のみが搭載されています。  
ジン社の歴史は1961年に遡ります。ドイツ軍パイロットで飛行教官でもあったヘルムート・ジンが、自らの名前をブランドに冠し、フランクフルトでパイロット用の時計を作り始めたのがその発端です。 これは時計というより航空機器に近いもので、視認性が良く、機能性が高く、そして堅牢な作りは、プロフェッショナル・パイロットたちのニーズを完璧に満たしていました。  
1994年9月にはローター・シュミット工学士がジン社の経営を引き継ぎました。 シュミットはスイスの名門ウォッチブランドの取締役兼製造部門マネージャーとして工程管理、製造、商品開発に携わった人物です。 彼が新会社にもたらしたものは、開発と製造での経験と知識だけでなく、絶えざる新しい技術の開発によって成長を持続するというポリシーで、このときジンのテクノロジーの新時代が幕を開けたのです。ジンが実現した数々の革新は驚嘆するものばかりで、いずれもジンの時計でしか堪能できません。時計業界に登場したこのジン社の新しい時計技術に対しては、業界もユーザーも注目し関心を注いだのです。 ジン社の時計は従来の技法にとらわれがちな時計業界の中にあって、新しい技術的リーダーシップを建てようとするものです。 それはすなわち不断の技術革新であり、時計製造の局面において技術的かつ物理的に可能なことの極限を実現する、ということなのです。


Sinn Technology [ ジン・テクノロジー ]

HYDRO
  - ハイドロ

従来のダイバーズウォッチでもっとも問題となっているのは耐圧性能です。時計のケース内には気体が封入されており、水中での外気圧によって収縮されると外気圧と内部気圧の差ができ、ケースが破壊されてしまいます。そのため多くのダイバーズウォッチがケースを分厚くすることで耐圧性能を保持しています。

ハイドロ・テクニックでは、従来の時計ケースにシリコンオイルを封入することにより、圧力による収縮率を海水、淡水などの液体とほぼ同じ率にしています。外気圧に対して全く同じだけの内部圧で押し返すため、ケースには過剰な圧力がかかることがなく、それによりごつごつした重量感のあるケースを必要としません。これはパスカルの原理の応用で理論上は無限の耐圧性能を持ちますが、ムーブメントの安全性を考慮して5,000m防水となっています。ねじ込み式ステンレスバックの中央には円盤がはめ込まれ、外圧、内圧の変化で稼動する特殊構造となっています。

また、シリコンオイルにはもうひとつの特徴があります。文字盤の視野角度が飛躍的に向上します。通常の時計の場合は文字盤を斜めから見ると、光がガラス面に反射して視認性が悪くなりますが、ガラスとほぼ同等の屈折率を持つシリコンオイルの効果によって、くっきりとした視認性を得ることが出来ます。もちろん水中でも同様です。ダイバーズウォッチとして、まさに革新的な技術といえます。


ARGONGAS & DRYCAPSULE
  - アルゴンガス & ドライカプセル

機械式時計のテンプの軸は金属で作られ、軸受けには多くの場合ルビーが使用されています。これら2つのパーツは常に擦りあった形で接触しているため、より円滑に回転がおこなえるように潤滑オイルが使用されています。しかし潤滑オイルは年月を経るにしたがって劣化し、刻時制度が悪化するわけですが、その主原因は水蒸気や不安定ガスにあります。水蒸気は時計に蓋をする際に少なからず混入しますし、外気温の温度変化により結露が発生します。潤滑オイルは性質上これらの水蒸気を吸収する特性があり、よって劣化がおきます。

また潤滑オイルは本来絶縁体の物質であるが、水蒸気を吸収することでその特性が悪化し、するとテンプの軸と軸受けの高速運動でおこる静電気に、絶縁特性の悪化が加わり、放電がおき、さらに空気中の不安定ガスが化学反応をおこす放電腐食が始まり、すべてのパーツにおいて精度が悪化します。つまり、刻時精度やそのほかの精度の悪化にとって最大の敵は水蒸気といえます。

Sinnでは特殊乾燥剤を使用したドライカプセルの開発、導入により、水蒸気を可能な限り取り除く技術を得ました。さらにケース内には不安定ガスを含む空気を可能な限り排除し、希ガスとよばれる極めて安定したアルゴンガスが充填されているため、静電気がもたらす放電腐食がおこりにくいように対策が施されています。


STAMAGS
  - スタマグス

磁気が時計の精度に悪影響を与えることに気づいたのは1960年代です。防磁性能の時計が作られるようになったのですが、当時はパイロットやエンジニアなど専門職だけに使われていました。

時計の構造は、軟鋼性のインナーケースを使用しムーブメントを磁力線から保護していたわけですが、時計ケースが必要以上に分厚くなるといった難点がありました。
そこでSinnが開発したのが、80,000アンペア/メーター(つまり1,000ガウスまたは100ミリテラス)の防磁性能を持つマグネット・プロテクト・ステンレスのスタマグスです。
この新素材の開発により、これまで使われていたインナーケースは不要となりました。スタマグスのリングでムーブメントを囲み、文字盤と裏蓋にもスタマグスを使い磁化を遮断しています。現代はAV機器やコンピューター、携帯電話など磁気を発生する電子機器がいたるところに氾濫し、時計の精度に悪影響を与えています。
これに対応できるのがスタマグスです。


SZ01
  - エスゼット01

レアマニア5100のムーブメントの製造中止にともない、Sinnではまったく新しいムーブメント「SZ 01」の開発をおこなった。バルジュー7750をベースに、モジュールはギアからすべて設計しなおしたSinnオリジナルとなっています。レアマニア5100は24時間計(12時位置)、スモールセコンド(9時位置)、12時間積算計(6時位置)の縦左側の配置が特徴でした。一方「SZ 01」は24時間計(3時位置)、12時間積算計(6時位置)、スモールセコンド(9時位置)のインダイアルが、文字盤の下側に並んでいる。クロノグラフの視認性を高めるため、クロノグラフの分針はレアマニア5100と同様にセンターにあり、センター4針となっています。またパイロットにとって重要な24時間計は3時の位置にあるのが特徴で、これは袖口から一番遠い位置に配置することにより、24時間計がシャツに隠れて見えなくなることを防いでいます。バルジュー7750をベースにしているとはいえ、多くの部分を自社開発した新ムーブメント「SZ 01」は非常に期待できます。


TEGIMENT
  - テギメント

「テギメント」の技術は窒素を使った浸炭加工を時計のケースに施すことにより、セラミックと同じ1200ビッカースの硬度にする技術です。
このことにより非常に傷のつきにくいケースを作ることが出来ます。例えば、ナイフやドライバーといったもので引っかいてもまったく傷がつきません。
通常、金属を表面硬化するには高熱にしなければならず、ケースに負担をかけトラブルがおきやすくなります。しかし「テギメント」の技術を使えば比較的低温で加工が出来るため、ケースに負担をかけることがありません。また、マットやポリッシュ等ケースの種類を問わず、この加工が可能で、この点も今までにない技術といえます、

さらに、金属内のニッケルが表面には出てこないといった特徴もあり、アレルギー体質の人でも安心して使用することができます。浸炭加工の技術は以前よりあったものですが、改良・開発をして時計の分野に応用しているのはSinnが世界で唯一のメーカーです。

「テギメント」のケースには防磁性がないため、防磁特殊素材「スタマグス」のリングでムーブメントを囲み、文字盤や裏蓋にも「スタマグス」を使い、ムーブメントの磁化を遮断しています。その防磁性能は80,000アンペア/メーター(つまり1,000ガウスまたは100ミリテラス)。「スタマグス」の裏蓋は、通常傷がつきにくい部分なので、「テギメント」にはなっていないが、ニッケルフリーになっているため、よりアレルギーへの心配をなくしています。


DIAPAL
  - ディアパル

「ディアパル」は金属と金属の硬度の違いで摩擦を減らす技術で、真空状態ではオイルが使えないために開発されたNASAの技術の応用です。

Sinnでは時計の精度を保つために最も重要なガンギ車と鈎爪の噛みあわせの部分に改良を加えた「ディアパル」を採用し、オイルを使ったときと同じ状態(摩擦係数0.03)を保つことができるようになりました。このことにより機械の耐久性を高めるとともに、通常2~3年後とのオーバーホールのインターバルを5~6年へと伸ばすことが可能になった画期的な新技術です。

もともと「ディアパル」とはダイヤモンドパレットの略語で、Sinnでは1995年から研究・開発を続け、当初は鈎爪の部分にダイヤモンドを使い真鍮のガンギ車との硬さの違いを作り摩擦を減らすものでした。現在ではさらに進化を重ね、ダイヤモンドではなく新素材が使用されており名前だけが残ったというわけです。その新素材は企業秘密になっているため確認はできませんが、ダイヤモンドに変わる新素材を鈎爪部分に使い、ガンギ車にはダイヤモンドとシリコンパウダーを浸炭加工により定着されたものを用いています。このことによりパーツの強度を高めるとともに、この技術で最も重要な高度の違いのバランスを理想的な状態に保つことができるようになりました。一昨年にはアトランダムに選択した200個のモデルに試験的に搭載しましたが、この部分の故障は一切なくすべて正常に稼動しています。


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